被相続人が不動産の所有者であった場合、この不動産の名義を、遺言や遺産分割協議などで相続した相続人に名義変更をする必要があります。これが相続登記と呼ばれるものです。
相続手続まるごと代行パック(遺産整理業務)をご依頼の方については、相続登記の報酬が含まれておりますので安心です。
もちろん相続登記のみのご依頼を受任させて頂いておりますので、お気軽にお問い合わせください。
相続登記をせずに放置していると
法律上は、相続登記をいつまで申請しなければならない、という期限はありません。しかし、長期間相続登記を放置しておくことは望ましいことではありません。長期間経過することにより相続人が死亡してさらに第二、第三相続が発生していくと、相続人の数が増大し、いっそう遺産分割協議が難しくなり相続登記ができなくなるケースが多発しております。
弊所にも、親子3代、4代の相続手続が未了で、その間に何十人も亡くなっている相続登記のご相談がたくさん寄せられています。相続人が数十人にもなり、相続関係説明図は時代劇の巻物のようになります。面識の無い方との遺産分割協議は、当然難航します。高額の費用も発生し、解決までに1年以上かかるケースもたくさんあります。費用や時間がかかっても解決できれば良いですが、最終的に解決できないケースも多いのが現状です。
相続登記を放置することは、次世代に負の遺産を残すことになります。このようなことを防ぐため、現在起きた相続は今解決することを強くお勧めしたいと思います。
相続登記に必要な公的書類には、保存期間が短いものがあります。長期間相続登記を放置すると、書類の不足により手続きがさらに煩雑になり、余計な手間がかかります。
また、相続登記が完了していないと、相続した不動産を売却したり、担保に入れたりする登記を申請することができず、相続手続全体に大きな不都合が生じます。
相続を原因とする所有権移転登記の節税
数次相続がある場合の中間省略登記 所有権移転登記
親子何代に渡って相続登記をしていない場合、不動産登記の専門家である司法書士に遺産分割協議の作成を含めた相続登記をお任せすることをお勧めいたします。
所有権の登記名義人につき数次に相続が開始した場合、通常は各相続について順次相続登記を申請すべきとされています。しかし、中間の相続が単独相続の場合には、直ちに現在の相続人の名義とする中間省略による相続登記を申請することができます。
登記申請時に、不動産固定資産評価額に応じて登録免許税という税金を納付する必要があります。例えば、固定資産評価額1億円の不動産について、「相続」を原因とする所有権移転登記を申請する際には、登録免許税40万円を納税する必要があります。中間省略登記が可能となり、1回分登記申請が不要になるだけで、40万円の節税が可能となります。
中間の相続が「単独相続の場合」とは、以下の3パターンです。
- 中間の相続における相続人が1人だけの場合
- 共同相続であったが他の相続人が相続を放棄して、相続人が1人になった場合
- 共同相続であったが遺産分割・特別受益等で不動産を相続登記するのが1人だけになった場合
一番効率のよい登記申請方法を考慮しながら相続手続を進めていけるのは、不動産登記の専門家である司法書士のみと言えます。
Aの相続財産につき、E・F・Gが相続登記する場合、中間の相続における相続人がDの単独相続となるので、中間の相続登記を省略することができる。
Aの相続財産につき、B・Cが相続放棄、若しくは遺産分割協議で不動産を相続登記するのがDだけになった場合、中間の相続登記を省略することができる。
換価分割について
遺産分割協議に換価分割という方法があります。現物の相続財産を現金に換えて遺産分割することを言います。不動産を換価分割する場合、不動産を売却して、その売却代金から諸経費を差し引いた残額を、法定相続分で分配する方法を取ります。
相続した不動産を売却する際に、一旦相続人に相続登記を申請する必要があります。
以下のような事情がある場合、相続人代表者に登記名義を行い、その後に換価分割することで、登記申請件数を減らすことが可能となる場合があります。是非、弊所に相談をしてみてください。
- 相続人が大人数存在して、不動産売却時に手続が大変
- 相続人に高齢者や体の不自由な方がいて、不動産売却手続に参加ができない
- 相続人が忙しく時間がとれない
- 相続人が遠方に住んでいる
また、国税庁のホームページで、贈与税について以下のような説明があります。換価分割について、しっかりとした遺産分割協議書を作成しておけば、贈与税が問題になることはございません。以下は、遺産分割調停についての照会要旨ですが、遺産分割協議でも同様の結論になると考えられます。
照会要旨
遺産分割の調停により換価分割をすることになりました。ところで、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとしました。この場合、贈与税の課税が問題になりますか?
回答要旨
共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。
不動産の相続登記のタイミング
被相続人の遺産に不動産が含まれている場合には、法務局に不動産の所有権移転登記を申請することになります。
相続手続において、銀行の預貯金や有価証券の相続手続後に、不動産の所有権移転登記を申請することが多くなっております。
理由としては、印鑑証明書や戸籍等の公文書の有効期限の問題があります。
銀行や証券会社に提出する印鑑証明書や戸籍等の有効期限は、大体3か月から6カ月です。
法務局に不動産の所有権移転登記を申請する際に添付する印鑑証明書については、遺産分割協議書に添付する書類の一部として提出する場合がありますが、この際の印鑑証明書の有効期限は特に定められていません。また、戸籍等についても同様に有効期限の定めはありません。
そのため、書類について有効期限のある銀行や証券会社について先に相続手続を完了させ、有効期限がない法務局については、時間に余裕がある時に申請いたします。
しかし、平成29年5月29日からスタートした法定相続情報証明制度の登場により、法務局への所有権移転登記を先に申請したほうが、相続手続がスムーズに進む場合があります。
法定相続情報証明制度を利用することで、戸籍一式の代わりになる「法定相続情報一覧図」を取得できるようになります。
これまでは、各種の相続手続を並行して行うには、戸籍一式等を複数セット用意する必要がありました。法定相続情報証明制度を利用すれば、各種の相続手続で、戸籍一式等の代わりに法定相続情報一覧図を提出するだけで済み、戸籍の束を持ち歩く必要がなくなります。
相続人が法務局に対し、戸籍一式等の必要書類を提出し、登記官が内容を確認し、認証文付の法定相続情報一覧図の写しを交付します。必要な枚数の写しを法務局で取得することが可能です。写しの交付は通数に関わらず無料なので、とても便利な制度と言えます。
法定相続情報証明制度を利用するにあたっての必要書類は、相続登記の必要書類と共通のものが多いため、時間と手間を軽減するために相続登記の申請時に同時申請をします。
銀行の預貯金や証券会社の相続手続を先に申請するか、それとも不動産登記と法定相続情報証明制度を先に申請するかは、ケースバイケースということになると思います。
相続手続まるごと代行パック(遺産整理業務)は、お客様に合わせたオーダーの手続きとなります。状況に応じて、ご依頼者に一番負担がかからない手続を考慮し、最適のサービスを提供していきます。