相続法改正の知識-相続人以外の者の貢献について

施行日 2019年 7月 1日から

 

相続人には、「寄与分」という概念があります。これは生前、被相続人の療養看護その他の方法により「無償で」被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたものがいた場合において、その者が本来の法定相続分を超えた財産を相続できるようにする制度です。

従来の相続制度でも「寄与分」の制度自体はありましたが、相続人以外の人には適用されないため、実質的に相続人間の不公平を招くことが多々ありました。

そのため、今回の改正で相続人以外の親族に対して、寄与分を認める制度が創設されました。

特別寄与者は、相続の開始後、相続人に「金銭」の支払いを請求することができます。この金銭のことを「特別寄与料」といいます。

 

現実に良くありそうなケースでご説明します。

(相続人以外の者の貢献について)
相続人以外の者の貢献について

相談者はA子さん(65歳)。25歳の時に夫と結婚し、夫の母親であるB子さんと一緒に同居してきました。子どもにも恵まれ、嫁姑問題もなく、幸せに暮らしてきました。

不幸なことに40歳の時に夫に先立たれてしまい、その後は自宅で夫の母親(B子さん)と子供達と一緒に暮らしていました。

そのうち年齢のせいかB子さんの体調が悪くなる事が多くなり、A子さんは献身的に介護をしてきました。B子さんはA子さんの夫以外にも子供がいましたが、皆遠方に住んでいて介護に協力してくれる人は誰もいません。

夫に先立たれているA子さんは、一人で長い間必死に面倒をみてきたのです。
そんな中ついにB子さんが亡くなりました。

B子さんの相続でA子さんは受け取れるものがあるのでしょうか?

まず、相続財産は相続人しか承継できません。

相続人となりえるのは被相続人の配偶者、子、親、兄弟姉妹のみです。
相続人が先に死んでいる場合代襲相続という制度がありますが、この権利を持つのは子や兄弟姉妹の直系卑属(要するに孫など)のみです。

A子さんはこのどれかに当たるでしょうか?

そうです。A子さんはこのどれにも当たらず、いくら特別の寄与をしようとも何も受け取れないのです。
その一方、長年介護をA子さんに任せていた夫の兄弟たちは、きっちり相続分を受け取れます。

このような制度では公平性を欠く、といった指摘が多くあったため、A子さんにも認められる権利が創設されました。

具体的には、相続人以外の被相続人の「親族」が,「無償」で被相続人の療養看護等を行った場合には,一定の要件の下で,相続人に対して「特別寄与料」という名目で金銭請求をすることができるようにする権利です。特別寄与料を請求できる人のことを「特別寄与者」と呼びます。相続人が複数いる場合は、各相続人の法定相続分の割合で請求していくことができることになります。

また特別寄与者は親族に限られますが、ここでいう親族とは「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」をいいます。

したがって、子の配偶者(1親等の姻族、今回でいうA子さん)、先順位の相続人がいる場合の兄弟姉妹(2親等の血族)、被相続人の配偶者の連れ子(1親等の姻族)などが対象となります。その一方で法律上の親族でない被相続人の内縁の配偶者やその連れ子などは対象外となります。

特別寄与料の額で揉めることもあると思いますが、当事者間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求できます。

ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6カ月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、請求する事ができません。

あと注意が必要な点としては、特別寄与料の額についてです。
この額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価格から遺贈の価格を控除した残額を超えることができません。簡単にいうと「遺贈」が「特別寄与料」に優先するので、被相続人がすべての財産を遺贈していると、特別寄与料の請求をすることができません。

この「特別の寄与料」の制度の創設によって、相続人以外のもので被相続人の財産維持等に貢献した親族に金銭請求権を受けられる権利が認められて、実務上も適用が増加すると予想されます。

しかし他方で、「特別の寄与料」は「被相続人の親族」を対象として規定されているため、内縁の配偶者、LGBTの同性婚夫婦等には適用外とされるのではないでしょうか。社会の多様化に対応すべく、様々な場面を想定しつつ、今後の保護のあり方について、法改正や判例、動向をチェックする必要があると思われます。

 

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