株式等の有価証券の取扱は、従前の証券会社の他、最近では銀行窓口も増加しています。
銀行が取扱っている有価証券の場合は、銀行で預貯金の相続手続とあわせて行います。
実務上、銀行の投資信託口座や銀行窓口の証券会社口座を持っている場合、手続きが複雑になり、通常の銀行預貯金や証券会社の相続手続より時間がかかることが多くなっています。
有価証券の相続手続については、銀行の預貯金の相続手続と同様、必要な書類が揃えて支店等の窓口に行くか郵送での手続になります。
銀行の預貯金の相続手続と比べて特徴的なのは、被相続人(亡くなった方)の証券口座に有価証券がある状態で、相続人への名義書換や売却等による換金をすることができない点です。
亡くなった方名義の有価証券を相続人名義にするためには、相続移管手続によって相続人が持っている証券会社の口座に移管させる必要があります。
各証券会社で独自ルールがあり、同じ証券会社の口座間でしか移管を認めない会社、他社の証券口座への移管を認めている証券会社がありますので、個別に対応する必要があります。証券会社の相続手続を開始すると、証券会社所定の相続手続用紙への記入・捺印を求められます。この際、相続人への名義変更を行うのであれば、相続人が証券口座を保有していなければなりません。証券口座がなければ、相続人の証券口座を開設する必要があります。証券口座開設に必要な期間は、必要書類提出後2週間くらいです。
また、遺産分割の内容によって、有価証券等を売却して、その売却代金等を相続人に分配するという方法もありますいったん遺産整理業務の受任者(司法書士)が決済用預り証券口座の開設を致します。相続移管手続をした上で有価証券等を売却するという流れです。代表相続人の証券口座に移管して、代表相続人において売却・分配をする方法もあります。
遺産整理業務の受任者(司法書士)の決済用預り証券口座名の例)
被相続人A 遺産整理受任者 司法書士鈴木幹央
名義書換の場合は、承継人たる相続人の証券口座への相続移管により手続は終了するが、売却等による換金を行う場合には、相続移管手続が終わった後に、証券会社に対して売却や解約の指示を行う必要があります。売却や解約による代金は、清算を経て相続人へ分配します。
注意点としては、有価証券の売却の売却・解約手続による換金を行った場合は、譲渡所得税の問題が発生します。原則として、所得税の確定申告が必要です。譲渡所得税の申告につきましては、ご依頼を頂ければ弊社提携の税理士の先生をご紹介いたしますので、安心して手続が可能です。
株式・株券の名義変更(相続手続) 必要書類
(標準手続期間 書類を提出してから2週間~1ヶ月)
- 相続関係を証する戸籍一式
- 相続人全員の署名、実印押印のある委任状
- 相続人全員の印鑑証明書(3カ月~6カ月)
- 相続人全員の署名、実印押印のある遺産分割協議書
- 銀行通帳、キャッシュカード
- 司法書士の職印証明書
- 司法書士の本人確認資料