高齢化社会の進展や家族のあり方の変化等の社会情勢の変化に伴い、1980年以来、38年ぶりの相続法制の大改正がありました。
晩婚化、非婚化、再婚家庭の増加等、近年相続を取り巻く環境が大きく変化しています。
平均寿命が伸び、相続開始時の配偶者の年齢が70、80代のケースが多くなっており、配偶者の生活保障の必要性が高まっています。
反対に、相続開始時の子の年齢は40、50代であることが多く、子の生活が安定しているため、子の生活保障の必要性は低下しております。
このような社会情勢の変化によって、高齢となりがちな残された配偶者の生活に配慮する必要性が高まったことが、法改正が必要となった大きな理由です。
高齢配偶者の保護、遺言の積極活用、家族に対する考え方の変化などに伴い、今回の改正での新しい制度の創設なども進みました。
1.配偶者居住権を保護するための制度の新設
- 配偶者短期居住権
- 配偶者居住権
2.遺産分割等の見直し
- 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規定)
- 遺産分割前の払戻し制度の創設等
- 遺産の一部分割
- 遺産分割前に処分された財産の扱い
3.遺言制度の見直し
- 自筆証書遺言の方式の緩和
- 遺言執行者の権限明確化
- 法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設
4.遺留分制度の見直し
遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとする効果を是正し、遺留分減殺請求権の行使によって遺留分侵害額に相当する「金銭債権」が生ずるものとする。
5.相続の効力等の見直し
- 権利の承継に関する見直し
- 義務の承継に関する見直し
- 遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果等
6.相続人以外の者の貢献を考慮するための制度の新設
相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることが可能となる制度(特別の寄与)の創設。
弊所は、このような相続法大改正についても対応可能です!
皆様のお力になれるよう実務の動向についても日々勉強中です。
実際に運用が始まらないと分からない部分も多いですが、知らずに損をすることがないように、新法にもしっかりと対応していきます。