みなさまこんにちは!司法書士の鈴木幹央でございます。寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?
現在新型コロナウイルスの感染者数は落ち着いていますので、このまま終息に向かってほしいです。早く気にせずにお店にお酒を飲みに行ったり、旅行したりしたいですね!
私たちは相続に関わるお仕事をさせて頂いておりますが、「相続放棄について勘違い」をされている方って本当に多いんです。
本日は、「それって、本当に相続放棄ですか?」ということについて書きたいと思います。
そもそも相続放棄とは
相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の死亡を知ってから3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をすることです。
つまり、ちゃんと家庭裁判所に書類を提出して、家庭裁判所に相続放棄をしたというお墨付き(相続放棄申述受理証明書 OR 相続放棄申述受理通知書)をもらわないといけないんです。
では、何と勘違いをする人が圧倒的に多いのか。
それは、「遺産分割協議で財産をもらわない」ことを「相続放棄」と言っている、勘違いをされている方が圧倒的に多いです。
では、「相続放棄」と「遺産分割協議で財産をもらわない」ことは、一体どう違うのでしょうか?
それぞれの特徴を簡単に書きたいと思います。
「相続放棄」
- 家庭裁判所に対して申述が必要
- 原則、亡くなったことを知ってから3か月以内に手続きをする必要がある
- 相続放棄をすると、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる(民法939条)。(相続分の計算をする際には要注意)
- 同順位の相続人が全員相続放棄をすると、次順位相続人に相続権が動く(子が全員相続放棄→直系血族が全員放棄→兄弟姉妹)
- 一切の相続財産(プラスもマイナスも)を相続することができない(家を相続できないが借金も相続しない)
「遺産分割協議」
- 家庭裁判所等に対して申述は不要
- 原則、いつまでに遺産分割協議をしなければならないという「期限」はない。(法的には期限ないが、税金の関係では期限があるので要注意)
- 遺産分割協議で「プラスの財産をいらない」といっても、債務があれば引き継ぐことになる(債権者との関係があるため、相続人同士で債務の負担者を決定できない)
- 遺産分割協議で相続財産をもらわなくても、相続人であることに変わりはない(相続放棄のように次順位の相続人に相続権はうつらない)(相続分の計算をする際には要注意)
こう書き出していくと、「相続放棄」と「遺産分割協議で財産をもらわないこと」は、法的には全然違うんですよね。
一緒の意味で使っていないでしょうか?
相続の面談時に、「相続放棄」しているから、というお話をよく聞きますが、ちゃんと話を聞いてみると、家庭裁判所に申述が必要な「相続放棄」ではなく、他の相続人に「遺産をいらない」と伝えているだけ、ということがほとんどです。
借金の方が多かった場合など、「相続放棄」をしたと勘違いして、多額の借金を相続してしまうことになって大問題に発生する可能性があります。
相続人の中に相続放棄をしている人がいる場合、遺産分割協議をする相続人がかわったり、法定相続分の計算方法が変わってきます。本当に注意が必要です。
また、相続放棄は、相続財産の処分行為をすると、相続放棄をすることができなくなります。
「処分行為」とは、相続財産を売却してしまう、預貯金を使ってしまう等の行為になります(処分行為については様々ありますが、ここでの説明は割愛)ので要注意です。
以上、「相続放棄」と「遺産分割協議で財産をもらわない」ことの違いについて書かせて頂きました。
「相続放棄」については、処分行為や単純承認など、私たち法律家でも「微妙だな」と感じる行為やケースが多々あります。
また、亡くなったことを知ってから3か月を経過していても相続放棄ができるケースがあります。
知らずに不利益を受けることがないように、私たちがサポートさせて頂きます。
ご自身で判断せず、私たち専門家にご相談くださいませ。
是非ご相談をお待ちしております!